2020年5月後半に緊急事態宣言が解除されて、7月には大方のジムが再開していると思います。それでもマスク着用を義務化しているところも多いと思います。トレーニング中のマスク着用のリスクについて考察していきたい。
リスク
〇脳への酸素供給不足
最近の話だが、管轄のジムでこんな事例があった。
トレーニング経験の少ない中年の女性で2回目のトレーニングだった。トレーニング終盤に差し掛かり、様子がおかしくなり、その後「私この前まで何してました?記憶が飛んじゃって」と繰り返すようになってしまった。血圧も心拍数も特に異常は見られなかった。今日は終了にしましょうと言ってもなかなかその場から動かず、本人がどうしたらいいか困っているような状態だった。様子がおかしくなってから1時間以上経って、ようやく帰宅の準備までできたが、本当に自宅まで帰れるか心配でこのまま一人で帰宅させて大丈夫なものか心配になるも、なんとか無事帰宅されてその後は何も問題なくいつも通り過ごされている。私自身初めての出来事で、特に大きな衝撃を与えたわけでもないが、何か脳に障害でも起きてしまったのではと、焦った。
まだ医師からの診断結果は出ていないが、「一過性全健忘(TGA)」ではないかと思われる。
一過性全健忘とは頭の外傷を原因とせずに、一時的に新たな記憶ができなくなる状態をいう。自分や家族の名前、職業、年齢などは覚えているが、今自分がどこにいて何をしているのかがわからなくなることが主な症状。発症している間は、自分がしていることを記憶することもできない。そのため、周囲に自分が何をしているのかをしつこく尋ね続けたことで一過性全健忘が発覚することも。通常24時間以内に症状から回復するが、回復後も発症中のことは思い出せないことがほとんど。
過度な飲酒や、極度の疲労時に起こるとされていて、明確な原因はわかっていないらしい。実際このクライアント様は、この1週間多忙で寝不足が続き、夕方のトレーニングだったが昼食を摂っていなかったとのこと。
マスク着用によって脳への酸素供給量が減る。それが運動時はより顕著になる。このような事例は私自身初めてであるが、久々のトレーニングでかつマスク着用ということで貧血状態になるケースは多い。
〇熱中症
まだ梅雨時期で湿度が高く、汗もかきやすい。しかしマスクを着用していることで口内の湿度も保たれ、喉の渇きには鈍感になってしまう。そうなると普段からこまめに給水をしていなければ脱水状態になりやすく、熱中症になるとめまいやたちくらみ、筋痙攣や倦怠感などの症状が出てくる。
メリット
高地トレーニング効果による見地から、マスク着用でのトレーニングによって心肺機能が向上すると一般的に広く解釈されている。しかし、それを裏付ける科学的根拠が弱く、それを肯定するような文献や記事は少ない。
ある記事を参照しても、マスク着用によって酸素摂取量を制限しても、低圧の状態を作らないと身体は適応しないのだろう示唆される。
なのでトレーニング中にマスクをするメリットとしては、皆がマスクを着用しているのにしていないという白い目で見られることがないということ、飛沫感染予防ができるということになりそうです。
まとめ
個人的な感覚としても、普段仕事や外でマスクを着用しているからと家ではマスク着用なしで「呼吸が楽だ」と改めて思うこともない。
なのでトレーニング時におけるマスク着用については人目が少なく、飛沫感染リスクがない状況においては一時的にでもマスクは外すべきと思います。
人間の生理学的知見から見ればそう思いますが、そのジムのルールで着用義務があればそれは従わざるを得ないですね。でも、体調に異変を感じたらご無理なく。命が一番大事なので。
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