今年も残すところわずかとなりました。
今年はコロナの影響もあり変化の年でした。来年は新しいサービスを始めます。
今年の7月末で4年間どっぷりと浸かっていた前職を卒業し、それからしばらくはずっと継続してきたクライアント様に自宅出張トレーニングのみ伺っていました。なんのツテも考えも特になくて、しばらく休みなく働いてきたので、ゆっくりしながら、好奇心を開放させて日々を過ごしました。
大学を卒業してからフィットネス業界で10年。今はコロナで人々の価値観や生活が大変革を強いられ、VUCAの時代と言われるように本当に世の中が不確実であることが身をもって感じさせられました。ただでさえ、テクノロジーの進化と企業努力によって物質的に豊かになり、人々は生活に困らないようになりましたが、コロナによって状況は加速しました。どの市場も飽和状態となり、機能はどれも画一化され、ユーザーにとってはより便利で、より安く手に入るものしか残らなくなってきています。
就職活動をしていたころ、僕は様々な業種・業界を受けては落とされました。金融、ファッション業界、ITなど。大学の専攻の油層工学に関連するJAPEXやENEOS等エネルギー資源系には全く興味がなかった。地元の秋田から東京の先輩の家に1カ月居候させてもらって就活に奔走して、貯金を全て失っても、内定通知は得られませんでした。「幼稚園→小学生」、「中学生→高校生」もそれまでの人生の中ではエスカレーターだったけど、「学生」から「社会人」へは、それまでの経験を全て踏まえて自分自身で決断するという垣根を越えた「ジャンプ」でした。多くの人にとっては大学を選ぶときに将来のことを考えて、先を見据えた決断をすると思うけど、僕は従来の古い価値観で国立の中で行ける大学ならどこでもいいという考えで選択し、大学に入ってから徐々に自分のアイデンティティが育まれていったように思います。
トレーナーという職業を知り、その道に行こうと意を決めたのは今からちょうど11年前ほどです。他の仕事と違って、サラリーマン気質がなく、健康分野は知識として持って損はないし、他と差別化を図れるなと思っての決断でした。もともと天邪鬼な性格なので、その道が多少キツくても、「その他大勢」は望みませんでした。それゆえ、トレーナーをしながら食っていけず掛け持ちでアルバイトをしていた時代もあったのですが。
今となってはパーソナルトレーニングはよく聞く言葉だし、Instagramが追い風となって体を鍛えることが一般に浸透してきているように感じますが、10年前からずっと思っていたことは、運動することへの「ハードルの高さ」でした。外を走るのも家でストレッチするのも無料でできる。しかしジムに行ってトレーナーを雇わなければ成果は得られないと思っている。体が変わるのは一瞬ではなくて継続している過程で変っていることを振り返って気づくもので、効果的な方法での「継続こそ大事」なのに継続を前提としたパッケージになっていない。つまり、運動は健康寿命を延ばしたければ一生付き合っていくものなのだけど、それがフィットネス業界もユーザーも前提となっていないのです。
例えばトレーナーを一人1時間雇うのに、フィットネスジムのパーソナルトレーナーの相場ではだいたい7,000円ほどかかります。これはトレーナーの賃金+施設またはトレーナーを管轄する会社の売上に対するコストですから、一人の専門知識を有する人間の時給で換算したら妥当な金額です。一方ユーザーの視点で見れば、科学的に効果的には週2回、さらにジムの会費を合わせると、すぐに効果が見えないだけに継続が難しい支出となりえます。
扱う体は自分のものなのに、なぜこんなにコストも時間もかかるのだろうという問いがずっとありました。
前職のフィットネスジムでは2度の新店舗立上げ、2店舗のマネジメントをさせてもらいました。家にいる時間よりも長かったその濃密な時間がなくなり、近所を散歩する時間と思考を整理する時間が増えました。もっとも渇望感を覚えたのはお金でも役職でもなくて、「人とのかかわり」でした。業界10年を経て新しい業界に行ってみようとも思いましたが、今ある資源だからこそ、もっと多くの人にそして深く貢献できることはないかと考え行きついたのが「2nd GYM」です。
いわゆる会員制の出張パーソナルトレーニングです。
出張パーソナルトレーニングというと、どこか遠いところからわざわざトレーナーがたくさんの荷物を抱えて来てくれて、1時間ないしは90分間、気合を入れてその時間打ち込んでくれて、退出するその時まで気が抜けないというようなそんなイメージがあります。(僕だけかもしれません)それゆえ、プレッシャーも大きいし億劫です。
2nd GYMは、クールダウンのメンテナンスを含めて必要最小限の時間、1回40分と短めで科学的に必要十分と言われる週2回に設計しています。エリアはなるべく狭い範囲に限定することでトレーナーの移動コストを削減し価格を抑えることができました。
体が変わるのは、①効果のあるやり方を継続し②自分自身の体と向き合い続けること(短期的目標に一喜一憂せずからだの変化に気付き、そして楽しめていること)。10年間フィットネス業界で関わり続けたトレーニングの真理だと思っています。②は運やタイミング、その時の心理状況(プライベートや仕事の状態など)によってコントロールの余地が少ない。一方、①は科学的に効果的な方法で「継続する仕組み」さえ自分自身のライフワークに組み込むだけで体が変わる大きな可能性を得ることができます。
その真理のもとでは、立派な施設や真新しい機材も必要なく、必要十分なスペースさえあればトレーニングする人の家がジムそのものであるという、僕らトレーナーにとっての極私的な視点が「2nd GYM」の由来であり、「フィットネスをもっと身近で手軽に」がコンセプトとなっています。
2nd GYMは、アフターコロナ時代における新しいフィットネスの在り方を提案します。
この声が、社会と僕よりも技術や能力も高いのに食っていけない多くのトレーナーの耳に届いたら嬉しいです。
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